北極海航路を通る船が安全に航行するには,海氷の情報はもちろんのこと,船体着氷の情報も大切になります.

船体着氷では,船が上げる海水しぶきが凍りついて大きく発達することが主な問題です.本航海では,その「材料」であるしぶきの飛来を航海中連続で観測しています.

9月のこの時期に着氷なんて起きるの?と思うはず.千島列島から北太平洋で激しく着氷するのは厳冬期です.現在,気温はおよそプラス5 ℃,海水が凍るのがおよそマイナス2 ℃ですから,今は凍ったりしません.北極海航路のハイシーズンは海氷の少ない夏から秋です.この時期の「材料」と気象・海象のデータを観測しているのです.

本航海の終盤には気温が下がるので,着氷が見られるかもしれません.

尾関俊浩(北海道教育大学)