北極航海ではたくさんの観測項目がありますが、海水中の化学成分やプランクトンなどの微生物はCTDシステムに付属した大きな採水器(ニスキン採水器)で採取されます。
CTDシステムは観測点の海底付近から色々な深度で採水しながらみらい船上へと帰ってきます。
今航海でも様々な化学成分・生物試料が分析されますが、CTDシステムが海から帰ってくるとそれぞれの項目の分析専用の瓶に分取されます。どの項目も精密な分析が行われますが、分取するときにはそれぞれ独自の作法があります。
みらいでは採水班を編成して自分の分析項目だけではなく、各分野の採水作法を事前に学び、協力して採水作業に臨みます。8月27日には採水作法伝授式(採水練習)が行われました。初めての乗船者は、微量な気体成分などの精密な採水方法の習得に苦労している様子でした。
ここだけの話ですが、この業界には「生物系1回、物理系2回、化学系3回」という諺があります。
これは、共洗い呼ばれる瓶を目的の海水で事前に洗う作業の分野別の回数を言っています。共洗い回数が多いほど、不純物の混入が少なくなります。微量な化学成分ほど、採水作業に気を使います。
写真は小野寺流植物プランクトン採水手法の伝授式の様子です。
師範はいいました。
「適当に共洗いを一回して、適当に満水近くまで入れて下さい」
みなさんすぐに免許皆伝となりました。
藤原周(JAMSTEC)