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今回の「みらい」北極航海では海洋の観測だけでなく、大気のラジオゾンデ観測を行っています。

ラジオゾンデとは、ヘリウムを充填した気球に気温・湿度を計測するセンサーをとりつけて放球し、その動きをGPSを利用して追跡することによって風向風速も調べる大気観測の基本です。

そのラジオゾンデ観測を、北極では前代未聞の一日8回、一ヶ月間にわたって実施するというのが今回の目玉です。

温暖化の進む北極の大気

北極の大気を調べることには大きな意味があります。なにより、北極圏にはほとんど観測点がありませんので、北極の大気の構造や雲のできかたなどにはまだまだ謎が多いのです。

また、北極は地球上でも最も温暖化の進行が早い地域でもあります。夏の海氷の縮小にともない、北極の大気場は大きく変容しているのではないかというのが、我々の関心事です。

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ラジオゾンデ観測はセンサーを準備し、気球にヘリウムを充填するなどといった準備作業が必要です。今回は3時間おきに24時間続く作業を、6名2交替制で行っています。今回は国立極地研、九州大、長崎大の学生も参加し、若いパワーで乗り切る予定です。こちらの写真はセンサーの準備をする鳥羽瀬さん。

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こちらはヘリウムの開栓を行っている極地研の佐藤さん。現在ではみなが作業に慣れて、手際よく放球ができるようになってきました。

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ラジオゾンデは「みらい」に搭載されている自動放球装置を利用して空中に飛ばされます。この放球装置があるおかげで、ゾンデの準備作業を風に煽られるデッキ上で行う必要がなくなりました。

しかしいつも自動放球装置が使えるわけではありません。今回の航海ではそうした北極の厳しさも観測早々に直面することになりました。

そのあたりはまた後日、報告したいと思います。