2017年9月7日、本航海では最北となる観測点に到達しました。北緯76度25分、西経157度16分のカナダ海盆と呼ばれる海域です。
前日、アラスカ・バロー岬沖で観測していたのですが、次第に風が強くなり観測中止となりました。天気図では北側の氷縁域で比較的風が穏やかであったため、その氷縁を目指し移動することにしました。「みらい」は北上をはじめます。
アイスチャート (海氷分布地図)をみて、最も近い氷縁へ。そこで氷縁観測の新兵器、小型ボート (作業艇)の登場です。「みらい」では近づけない氷盤の隙間に近づき、作業艇からいろいろな測器を降ろして、海氷近傍の海の様子を調べます。作業艇観測は今回が初めての試みなので、「みらい」甲板上で観測訓練を積み重ね、本番に備えます。
しかし、実際現場に行ってみると、海氷がないじゃありませんか!実際の氷縁はアイスチャートより30マイル北にあることが、最新の人工衛星からの写真で分かりました。時間にして約2時間半、船を北に走らせれば到達するのですが、前日にやり残したバロー岬沖の観測に戻らなければなりません。ここで時間をロスするのは得策ではないと判断し、この場所に最北観測点を設け、観測後はバロー岬沖に引き返すことにしました。
この最北観測点では、作業艇観測はできませんでしたが、「みらい」による高精度で多項目にわたる各種観測を実施して、貴重なデータを取得することができました。作業艇による氷縁観測は海氷の残るシベリア沖の海域でも実施予定です。しかし、その海域もどんどん海氷が融けつつあります。急がねば。