西野茂人

北極海を背に

2016年9月22日、ベーリング海峡付近の最後の海洋観測点での作業を終え、「みらい」は北極海を背に (イメージ写真)、日本に向けて走り出しました。 航路上では大気観測や表層海水の連続観測などは続けますが、海中の多層採水やプランクトン採取、海底の泥採取、漂流ブイの投入、係留系の回収・設置などの大掛かりな海洋観測は終... 続きを読む

海底の泥と生物

 「みらい」北極航海では、空や海の観測だけでなく、海底の泥や生物の観測も実施しました。北海道大学が中心となり、泥や砂利といった海底の環境とそこに住む生物の種類や量との関係を明らかにするためです。  海底の泥や生物はスミス・マッキンタイヤー採泥器 (写真1)で採取します。略してスミキンと呼ばれています。船からス... 続きを読む

バロー岬沖南下

普段は笑顔のアイスパイロットが、硬い表情でブリッジに上がってきました。「このままでは、海氷で帰路が塞がれる。」 アラスカ州・バロー岬沖は、太平洋からやってくる暖かい海水の通り道なので、例年は夏から秋にかけて海氷なんて見られません。しかし今年は違います。バロー岬沖からロシア海域にかけて東西に海氷の帯 (アイスバンド... 続きを読む

虹と海氷

 2016年9月12日の午後、北緯72度15分、西経159度11分、米国アラスカ沖を航行中に、久しぶりの青空に出会いました。良く見ると虹まで出ているではありませんか。遠くには海氷も。すぐにポケットからカメラを取り出し、シャッターをきりました。もっとはっきりと虹を撮ろうとアタフタしているうちに、虹は消え、空もいつもの曇り... 続きを読む
西野茂人

西野茂人

JAMSTEC(海洋研究開発機構)で北極海の観測研究に従事。ここ数年は毎年のようにJAMSTECの海洋地球研究船「みらい」による北極航海に参加。2013年、2015年、2016年は「みらい」北極航海の首席研究員を務める。カナダ砕氷船の北極航海にも参加経験あり。地球温暖化や海氷減少に伴う北極海の物理・化学環境の変化と生態系への影響につての研究を進めている。