2013年「みらい」北極観測

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2013年初秋、海洋地球研究船「みらい」は北極における低気圧活動、ならびに海洋物理の観測のため、70日間の航海を実施します。

今回の航海の目玉は海氷消失域における2週間にわたる定点観測です。通常、船による観測という特性上、目的の海域を縦横に移動して面的な観測を行うことが多いのですが、今回はあえて定点に船を止めるということをしています。

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定点で観測をした場合、その場所での気象条件の変化や海洋内部構造の変化を連続してとらえることができます。例えるなら、交通量を調査するのに街中を走り回って調べるのではなく、交通量が多い交差点でじっと車の流量を調べるのに似ています。

この二週間の定点観測中、「みらい」からは一日8回のラジオゾンデによる気象観測が行われるとともに、海洋の循環も連続して測定されます。

研究者のもくろみとしては、この期間中に強い低気圧が「みらい」が停泊している近くを通り抜けてくれれば、北極における低気圧の構造や、それに伴う海の冷却の様子を細かく知ることができます。これはひいては大気がどのように海から熱を受け取り、大気が温暖化しているかという実態を解明することにつながります。sondesonde

今回は国際的な連携によって「みらい」の観測にあわせて、ロシアのティクシ、スピッツベルゲン島のニーオールスン基地においても同時にラジオゾンデ観測を行うことが計画されています。

通常はこうした気象観測が存在しない北極においてたった三箇所とはいえ気象観測が追加されることで、北極における低気圧の成長の予測精度は高まることが期待されます。端的にいうと、この二週間だけは北極の天気予報がより「当たる」ようになるのです。

観測終了後に、これらのデータをスーパーコンピュータを用いて再計算することによって、北極における観測がある場合とない場合の二種類の結果を得ることも可能です。こうした地道な観測によって、北極における観測の重要性や、低気圧の成因、成長の駆動力などが判明することが期待されるのです。

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「みらい」は8月13日に青森県関根浜港を出港、8月26日はアリューシャン列島のダッチハーバーに寄港、ベーリング海峡をこえて9月は海氷が減少したチュクチ海における観測を行います。そして10月7日のダッチハーバー寄港を経て、10月21日には関根浜港へと帰還する予定となっています。

この観測の準備から観測期間中におけるトピックは本ブログでも随時更新していきます。