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2週間の定点観測を終了し、「みらい」はふたたび海の上を自在に公開しつつ、終盤の観測を行います。まずは急速に氷が迫りつつある海氷の縁まで、可能な限り北上する海氷縁への航海が始まります。

その後は海氷縁にそって南東に進み、海洋の渦を観測する、バロー沖で係留系をの回収作業を行う、そして再び定点ポイントに戻って変化を調べるなど、船の予定は分刻みです。

分刻みの船の予定

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船がどこに向かうのか、どこで何分停泊するのかといった行程表がこちらの写真にでているクルーズ・プランです。

緯度・経度の情報、その場所での推定される海の深さ、そこまで移動するのにかかる時間、そして観測にかかるおよその時間、離脱予想時刻などが詳細に記されています。

たとえば先に記事にしたCTDを深さ2000mの海に沈めて観測をする場合、観測開始から、海底まで到達してCTDをまた引き上げて揚収できるまで数時間かかります。自然が相手ですから天候や波次第で作業が遅れることもざらにあります。

しかしあまり無計画に遅れてしまうと、次の観測ステーションに行く時間も遅れ、やがて遅れは積み重なって必要な観測を圧迫して大変なことになります。そこで船員と研究者たちはクルーズ・プランに沿って時間通りに観測ができるように常に事前の準備を行い、さまざまな理由で遅れが生じた場合は観測地点を飛ばしたり変更するなど柔軟に計画を変えていきます。

船のうえでは情報は向こうからやってきてくれはしません。刻一刻と変化する状況を把握し、変化してゆくクルーズ・プランを能動的に収集して、各自が先手を打って準備をする必要があります。

与えられた少ない時間で最大限の観測ができるように、全員のチームプレイが24時間続きます。